この記事は療育の作業療法士が解説します。
小学3年生になるとはじまるリコーダーで、このようなつまずきはありませんか?
- 低いドやレをふこうとするとピーとなる
- 穴をきちんとふさげていない気がする
- 指に力が入りすぎてしまう
- リズミカルにふけない
この記事ではリコーダーをうまく吹くための方法をご紹介します。
療育現場でやっていた方法で、その日のうちにキレイな音が出せるようになった子も!
- リコーダーがうまくふけない理由
- うまくふけるようになる方法
- ふえピタをつかってみた感想
リコーダーへの苦手意識をなくし、自信をもって音楽の授業に参加できるようにしてあげましょう!
リコーダーが上手くふけない理由
リコーダーがうまくふけないのには理由があります。
ここでは、よくある6つの理由を解説しますね。
- 穴をうまくふさげない
- 指をバラバラに動かすのがむずかしい
- リコーダーを持ちつづけるのがツライ
- 息の強さを調整できない
- 楽譜や手元を交互に見るのが苦手
- 一度に複数のタスクをこなせない
①穴をうまくふさげない
リコーダーでキレイな音を出すには穴をきちんとふさがないといけません。
うまくふさげないと、低いドやレを出すときにピーッと高い音が出てしまいます。
手元を見ずに穴をふさぐには、穴の位置や大きさを感じる触覚と固有受容感覚のはらたきが必要です。
この感覚がうまくはたらかないと、どの指で穴をおさえるか分からなくなったり、穴にすきまがあいてしまったりします。
②指をバラバラに動かすのがむずかしい
リコーダーを吹くときは指をバラバラにうごかさないといけません。
手や指に力が入りすぎていると、指をスムーズにうごかすのがむずかしくなります。
指先が白くなっていたら力が入りすぎです
力が入りすぎる理由として、指をバラバラに動かす分離運動の苦手さや、体幹がよわく姿勢がくずれやすいことがあげられます。
ちなみに姿勢のくずれやすさは、③の「リコーダーを持ちつづけるのがツライ」にも関係します。
③リコーダーを持ちつづけるのがツライ
空中でもったまま吹かないといけないリコーダー。
体幹がよわい子は姿勢がくずれやすいので、持ちつづけるだけで精一杯になりがちです。
『しっかり持たないと』と思うほど体に力がはいりすぎ、指先をスムーズにうごかせなくなる子もいます。
④息の強さを調整できない
キレイな音を出すには一定の強さで息を吹かないといけません。
ちから加減が苦手な子の場合、強すぎたり弱すぎたりすることが多いもの。
また、息の強弱は言葉の説明だけではわかりにくいので、ちょうどよい息の強さを知らないこともあります。
⑤楽譜を目でおいかけるのが苦手
「見る力」によわさがあると、楽譜を見るのがむずかしくなります。
どこを見ればよいか分からなくなったり、みんなとちがう所を見たりして、リズムから外れてしまうことも。
なおここで言う見る力は視力ではなく、追視や注視などの視機能のことです。
▼見る力についての解説もしています。
⑥一度に複数のタスクをこなせない
よい姿勢のまま楽譜を見て、指をうごかして、息をふく。
リコーダーを吹くには、複数の行動(タスク)を同時にやらないといけません。
そしてリコーダー操作のつまずきポイントが多いほど、複数タスクをクリアするのがむずかしくなります。
リコーダーがふけるようになる方法
リコーダーを上手く吹くための練習方法をお伝えします。
- まずは指の準備体操
- 穴をふさぎやすくする
- 肘やリコーダーを机においてみる
- ティッシュを吹いて息のつよさを確認する
- ゆっくりめの曲を練習する指かけやヌーボをつかってみる
①まずは指の準備運動
リコーダーを吹く前には指の準備運動をしましょう!
指のボディイメージがあがるので、穴をふさぐ動きがスムーズになりますよ。
思いきり指をうごかしてくださいね
- グーパー5回
しっかりグ~ッと握ってパッと大きくひらきます - 1~5の指数字をつくる
指をのばしたら曲げるうごきも忘れずに - 爪から指の根本までギュッギュッとはさむ
指先がじんわりあったまるくらい
鉛筆や箸をもつ前にやるのも効果的ですので、ぜひお試しください。
②穴をふさぎやすいアイテムを使う
穴を見なくてもふさげる工夫をしましょう。
使うのはうおの目保護パッドやふえピタ!
使い方はとってもカンタンで、1枚ずつ穴の位置にあわせて貼るだけです。
凹凸がわかりやすくなるので、指先の感覚だけで穴を探せるようになりますよ。
のちほどふえピタを使った感想を紹介します
③肘やリコーダーを机においてみる
空中でリコーダーを持ちつづけるのがツライなら、肘やリコーダーの下を机においてみましょう。
姿勢を保つのがラクになり指先のうごきだけに集中できるので、とても吹きやすくなります。
④ティッシュを吹いて息のつよさを確認する
ティッシュをつかって息のつよさをチェックします。
一定の強さでフーッと吹いたり、フッフッフーとテンポよく吹いたりしましょう。
ティッシュのゆれ方を見れば息のつよさを確認できるので、ちから加減を調節する練習にぴったりです。
⑤ゆっくりめの曲を練習する
はやいリズムの曲だと、指をうまくうごかせなくてやる気がなくなってしまいがち。
「なべなべそこのぬけ」のように2~3音でひける曲から練習をはじめましょう。
「さくらさくら」のようにゆっくりテンポの曲もおすすめです。
また楽譜を拡大コピーしたり音階をかきこんだりして、見るところを分かりやすくする工夫もとり入れてみましょう。
⑥指かけやヌーボをつかってみる
リコーダー用指かけや、ヌーボという種類のリコーダーを使うのも検討してみましょう。
指かけ
ヌーボはかるくて穴をふさぎやすい仕様のリコーダーです。
穴部分にシリコンのフタがついているのがポイントで、しっかりとふさげるようになります。
握力がよわい子や不器用な子におすすめ
実際にふえピタを使ってみました
小学3年生の娘にふえピタを使ったときの変化はこちら。
貼る前 | 貼ったあと |
---|---|
低いドとレがうまく出せない 肩から指先まで力が入りすぎている 指の動きがぎこちない 息をつよく吹きすぎる | 手元を見ながらだが、全部の穴をふさげる 3回に1回は低いドとレの音がだせる カンタンな曲なら吹けるようになる 息が強いときもあるが、弱めようとする |
ふえピタを貼る前は、穴をふさぐことに必死でからだ全体に力が入りすぎている状態でした。
貼ってからは力みがとれたので、指をうごかしやすくなりました。
貼った日に低いドとレがふけました!
即効性にびっくり
ふえピタの基本情報
ふえピタは、真ん中に穴があいている半透明のシールで、リコーダーの穴に貼って使う商品です。
- 半透明なので貼っていても目立ちにくい
- すべりにくい素材だからリコーダーをもちやすい
- 穴をふさぎやすいので指の力がよわくても音もれしにくい
とてもよいグッズですが、「粘着力があるのではがすのがすこし大変だった」という口コミもありました。
取りたいときはシールはがしを使うとよいそうです。
ふえピタを使った感想
ふえピタを使ってみた感想です。
さわっただけで穴の位置がわかるね
それに穴がすこし小さくてふさぎやすそう!
指にピタッと吸いつく感じがする
友だちにもバレなさそうでいいね
持ちにくさや穴のふさぎにくさはない?
ないよ~。むしろ持ちやすい。
しかも初めてドとレが吹けた~!!
すごいすごい!
やったね♪
2ヶ月ほど貼ったままにしていますが、シールの変形やはがれもなく、快適に使えているようです。
ふえピタの代用品
ふえピタ以外のお助けアイテムを紹介します。
- 魚の目パッド
- パンチラベル
魚の目パッドをつかうときは、リコーダーの色に合わせて塗っておくと目立ちにくいです。
パンチラベルは100均などで購入可能。うすいので、ふえピタや魚の目パッドに比べるとふさぎやすさは低めです。
穴の位置を目立たせて見つけやすくしたいときに使ってみてください。
まとめ:ふえピタでリコーダーの苦手意識をなくそう
リコーダーがうまく吹けない理由として、手先の不器用さ・姿勢をたもつ苦手さ・複数のタスクをこなせないなどがあります。
今より上手になるために、ぜひ以下の練習をやってみてください。
- まずは指の準備体操
- 穴をふさぎやすくする
- 肘やリコーダーを机においてみる
- ティッシュを吹いて息のつよさを確認する
- ゆっくりめの曲を練習する
- 指かけやヌーボをつかってみる
ちなみに娘にふえピタを使ってみたところ、低いドとレが出せるようになりました。
お子さんが音楽の授業をすきになりますように